292 奕辰くんの天賦

「別荘の敷地は約3,300平方メートルに及び、南西の隅には大きな室内射撃場がある。

  奕辰くんに対して、慕雅哲はいつも惜しみなく心血を注いで育ててきた。

  奕辰くんがやっと歩けるようになったとき、彼は子供を特訓キャンプに放り込み、兵士の特殊訓練を見学させた。

  彼が幼い頃、慕おじいさまも同じように彼を育てており、毎年盛夏には特訓キャンプに放り込んで特殊訓練を受けさせていた。

  慕雅哲の影響下で、奕辰くんは幼いながらも銃器と格闘技に強い興味を持つようになった。

  2歳のとき、他の子供たちがまだ言葉を覚えている頃、奕辰くんはおしゃぶりをくわえながら、様々な銃器と弾薬を熟練した手つきで組み立て分解することができた。3歳になると、さらに上手に装填して射撃ができるようになり、見事なものだった。

  慕おじいさまでさえ、思わず舌を巻いて驚嘆せずにはいられなかった!

  同じ年齢の子供たちは、おそらくまだ一生懸命に話すことを学んでいる年頃で、才能のある子は白い紙に落書きを楽しんだり、おもしろいおもちゃに夢中になったりしている。しかし奕辰くんは、まるで慕雅哲の血に流れる鉄血の遺伝子を受け継いだかのように、文章を書いたり絵を描いたりすることを好まず、むしろ格闘技と銃器に非常に熱中し夢中になっていた。

  5歳のとき、彼は正式に軍営に入った。厳しい訓練に対して、彼は苦しむどころか、むしろ興奮していた。

  慕おじいさまは驚嘆せずにはいられなかった。この子は、慕雅哲が幼かった頃と比べても劣ることなく、むしろ青は藍より出でて藍より青しという具合だった。

  別荘の敷地内には、フェンシング場だけでなく、アーチェリー場、射撃場、格闘技場も設置されており、これらはすべて奕辰くんのために用意されたものだった。

  今、アーチェリー場では。

  静寂が支配していた。

  静かすぎて、針が落ちる音さえ聞こえそうだった。

  奕辰くんはかっこいい防護服を身にまとい、背筋をピンと伸ばし、重い弓矢を手に持ち、息を殺して100メートル先の的を集中して狙い、弓弦に指をかけていた。

  「シュッ」という音とともに、放たれた矢は雷のような勢いで飛び、電光石火のごとく一瞬で的の中心を正確に貫いた。

  「坊ちゃま……」