277 心配と意外

雲詩詩は物を枕元のテーブルに置き、傍らに座った。しばらくの間、二人は静かに黙っていた。

最初、男が優しい表情で子供を抱いているのを見たとき、彼女の胸の中に何かが動いた。

しかし、すぐに彼女は少し心配になった。

この男は、子供に会って、また気が変わって、子供を認知して慕家に連れ戻そうとするのではないだろうか？！

この男は彼女が子供を手元に置くことを黙認したが、しかし子供の養育権を放棄するとは一度も言ったことがない。

名家では、常に血筋の継承を非常に重視している。

この子は結局彼の血を引いているのだ。たとえ彼が同意したとしても、彼の背後にいる慕家が同意するだろうか？

おそらく認めないだろう！

雲詩詩は少し後悔した。

自分が十分注意深くなかったのだ。子供をもっとよく守るべきだった。今や身分が明らかになり、彼女の立場は本当に受け身すぎる。

慕雅哲は静かにちびっ子ちゃんを抱き、ずっとそのままうつむいて彼のピンク色の頬を見つめ、表情は集中していて、そうしてどれくらい時間が経ったかわからなかった。

雲詩詩は驚かなかったわけではない。

彼女の心の中には少し驚きがあった。

彼女の印象では、この男はいつも独裁的なことで有名だった。

初めて会ったとき、彼は暗い部屋に現れ、寒々しい雰囲気を纏って、一挙手一投足が異論を許さず、まるで高みにいる支配者のように、誰の反抗も許さなかった。

彼女がとても怖がっていても、男はそれを気にも留めなかった。

6年後に再会したとき、彼は相変わらず傲慢だった。

そうだ。

彼は生まれたときから金のスプーンをくわえていた。皇太子の出身で、錦衣玉食、榮華富貴、性格は生まれつき気難しく傲慢で、尊大このうえなかった。

しかし今、彼女の目の前にいる男は、とても静かで、さらに、彼女の想像以上に忍耐強かった。

さらに彼女を驚かせたのは、彼の子供の抱き方が、とても上手で、少しのぎこちなさもなく、そのためちびヨウヨウは彼の腕の中でとても気持ちよさそうに眠っていた。

彼はいつもこうして奕辰くんを寝かしつけているのだろうか？

きっとたくさん経験があるのだろう。

でも、彼の身分なら、使用人や乳母を雇って子供の世話をさせるのではないだろうか？まさか、自分で面倒を見ているのだろうか？