第315話 まさかそんな

雲詩詩が病院に着いた時には、すでに夜になっていた。

荷物の整理をしている時、一晩中目を閉じることなく過ごしたせいか、ソファーで眠り込んでしまった。

最後は秦舟からの電話で目が覚めた。

「来週の月曜日、環宇エンターテインメントでの契約を忘れないでね!詩詩、おめでとう。環宇エンターテインメントと契約できるなんて、第一歩から順調ね!」

秦舟は来週の月曜日に環宇との契約式を遅れないように知らせてきたのだ。

電話を切ると、窓の外を見た。細かい雨が降り始めていた。

思わず恍惚とした。

本当に芸能界に足を踏み入れたのだ。これからうまくいくのだろうか?

病院に着き、急いで病室のドアを開けると、特別室の豪華さに雲詩詩も驚いた。

応接室では、佑佑が雲業程の膝の上に座り、退屈そうに雲業程が買ってきた漫画を眺めていた。