337 友達がいない

その裏には、彼女を売り出そうとする黒幕がいるに違いない!

そして、この件を解明するには、まず雲詩詩と良好な関係を築き、彼女の口から男の正体とその経緯を聞き出す必要があった。

短期間で新人を売り出すことができるなんて、その身分はどれほど恐ろしいものなのだろう?

もし可能なら、雲詩詩から情報を引き出して、その男から何かリソースを得られるかもしれない。

枕営業については、一発で有名になれるなら、彼女は何でもする覚悟があった。

この業界に長くいると、価値観は自然と歪んでしまい、清らかさなどどうでもよくなってしまう。

結局のところ、彼女はもう若くない。このまま日の目を見なければ、もう二度とチャンスは来ないのだから。

そこで、強引な質問が通用しないなら、情に訴えるしかない。彼女は友好的な笑顔を浮かべ、声を潜めて尋ねた。「詩詩、さっきの男の人、もしかしてあなたの彼氏?」

「違います!」雲詩詩はきっぱりと否定し、心の中で不思議に思った。

この江雨童は、自分のことに熱心すぎるのではないだろうか。

自分と慕雅哲の関係なんて、彼女が口を出す立場にないはずなのに。

そう思いながら、雲詩詩は練習室へと向かった。

江雨童はそれを見て、諦めきれずに彼女の後を追い、慎重に言った。「詩詩、私が秘密を守れない人間だと思っているかもしれないけど、私はずっとあなたを親友だと思ってるの!新人の中で、あなたが一番私に親切にしてくれた。私たち、友達よね?」

雲詩詩の足取りが少し遅くなった。

友達か。肖雪以外に、本当に友達と呼べる人はいなかった。

学生時代、彼女は内向的な性格で、学校では女子たちはいつも小グループを作っていて、グループに溶け込めない人は孤立してしまう。

それに、学生時代から彼女の容姿は徐々に開花し、みずみずしく清純で美しかったため、クラスだけでなく、上級生の多くの先輩たちも彼女に憧れを抱いていた。

その中には学校の人気者も含まれており、多くの女子生徒の憧れの王子様だったため、嫌悪感はより一層強くなった。

多くの男子生徒が絶え間なく追いかけ、毎朝机の中には封筒が山のように詰め込まれていた。その封筒の中には、甘い言葉が綴られたラブレターもあれば、一部の女子生徒から送られてきた刃物や脅迫状もあった。