二人は大きな円卓を占領し、色、香り、味すべてを兼ね備えた豪華な料理が並んでいた!
贅沢で腐敗的だ!でも今この瞬間、雲詩詩はこの腐敗を楽しんでいた!
なんて幸せなんだろう!
でもこんなに多くて、二人で食べきれるのかしら?食べきれなかったら、もったいないじゃない?
そこで彼女は決めた。前回のように、食べきれなかったら持ち帰ればいい。
雲詩詩は香りに誘われよだれが出そうになり、箸を取って思う存分食べようとしたが、ふと横を見ると、慕雅哲がテーブルに座り、落ち着き払って、満卓の豪華な料理に全く興味を示さず、一目も見ずに、無関心に濡れタオルで手を拭いていた。
慕雅哲様は食事に関して極めて厳しい好みを持っていた。
幼い頃からの贅沢な暮らし、錦衣玉食の生活で、これらは当然彼の目に留まるものではなかった。
彼女に付き合うためでなければ。
彼の目には、これらの豪華な料理も、彼女が作った麺ほど美味しくないのだ。
雲詩詩は彼の優雅な食事作法を見つめ、やはり名家の出だけあって、礼儀正しいと思った。
それに深刻な潔癖症まである。
雲詩詩は心の中で軽蔑しながら、気にせず牛肉を箸で摘んで口に入れ、頬を膨らませながら、幸せを噛みしめた。
美味しい、涙が出るほど幸せ。
彼女は生まれてこの方、佑佑の料理以外でこんなに美味しいものを食べたことがなかった。
そのとき、外から突然足音が聞こえ、雲詩詩は少し不思議そうに振り向くと、かすかに女性の不満げな甘えた声が聞こえた!
「前もって個室を予約していたのに、どうして突然キャンセルされたの……」
「林さん、どうかお怒りにならないでください。大切なお客様がいらっしゃったもので、やむを得ずあなた様の予約を……」
「まあ?!私だってお客様でしょう?店長さん、先着順という基本的なルールも分からないの?商売人なのに……商人に非ざれば詐なし、ですね!」
「申し訳ございません!次回はこのようなことは絶対にございません!」店長は謝りながら言った。
「次回?もう二度と来ませんわ!どいてください!」
「待ってください、林さん!中にはお客様が……」
「ふん!止めないで。一体どんな偉いお客様が私の予約した席を奪ったのか、見てやりますわ!随分と大した方なのね!」
個室のドアが突然大きく開かれた。