405 ちびっ子ちゃんは愛されなくなった(2)

宋恩雅は突然「あれ?」と声を上げ、慕雅哲の手にある二枚のVIPチケットを見て、目を少し大きく見開き、驚いて言った:「慕にいさん、VIPチケットを買ったの?」

「うん」

「すごいね、そうしたら、あなたと奕辰くんはどのアトラクションも並ばなくていいのね。あぁ、私は昨日公式サイトでチケットを取ろうとしたけど、取れなかったの」

このVIPチケットは一日限定二百枚しか販売されず、最高級のVIP体験を象徴するものだった。そのため、お金があっても必ずしも買えるわけではなかった。

慕雅哲はもちろんVIPチケットを手に入れるルートを持っていて、携帯電話を取り出して電話をかけると、しばらくして樂智会社の責任者が二枚のVIPチケットを持って彼のもとに届けてくれた。

せっかく出会ったのだから、宋恩雅姉妹の出費は彼が負担することにした。

宋恩雅は茶目っ気たっぷりに舌を出し、心の中では喜んでいたものの、表面上は矜持を保って言った:「慕にいさんに出費させてしまって!」

男は微笑むだけだった。この二枚のVIPチケットの金額など、彼にとっては何でもなかった。

奕辰くんは少し寂しげにその場に立ち尽くし、突然自分が置き去りにされたような気がした。

なぜか、彼は前に進み続ける三人を目で追いながら、慕雅哲が片手で彼の小さなバッグを持ち、もう片方の手で宋恩熙を抱きかかえているのを見た。宋恩雅は水素風船を持って傍らにいて、三人は楽しそうに笑い声を上げていた。彼の心は何故か、急に苦しくなった。

宋家の二人の姉妹が突然彼の誕生日に割り込んできて、本来なら一日中彼に付き添うはずだったパパを奪ってしまった。そして今や、本来なら今日の主役のはずの彼が、なんだか孤独な存在になってしまっていた!

なぜだか分からないが、この誕生日に対して、もはやあれほど期待を感じなくなっていた!

そのため、意地を張るのと、慕雅哲からもっと注目を集めたいという思いから、彼は意図的にゆっくりと歩き、さらには大きく後ろに遅れをとって、パパがもっと自分に注意を向けてくれることを願った。

このような弱々しい期待は、いささか哀れで惨めに見えた。