518 これが慕婉柔の動機

羅翰今は再び写真を見つめ、記憶が蘇ってきて、ゆっくりと言った。「思い出してきた……小柔の翡翠の玉は、確かこの子から取ったものだったと思う……」

「取った？」

「盗、盗んだ……」羅翰今は言葉を訂正した。

雲天佑は胸が締め付けられ、表情が微かに変化した。「つまり、あの翡翠の玉は、元々彼女のものだったということか？」

「間違いないはずです！この子が児童養護施設に来た時、翡翠の玉の他にブレスレットも持っていて、どちらも高価な品物でしたが、着ている服はボロボロで、それが強く印象に残っています。」

雲天佑の瞳が変化した。

——慕婉柔が雲詩詩を消そうとしたのは、彼女の身分に関わることだったからだ。

あの殺し屋が死ぬ前の証言が今も耳に残っている。

雲天佑は眉をひそめ、全ての手がかりを繋ぎ合わせると、事件の全容が徐々に明らかになってきた。

李翰林も思考を整理した。

慕婉柔と雲詩詩は同じ児童養護施設の孤児で、この翡翠の玉は本来雲詩詩の形見であり、慕婉柔がそれを盗み、慕おじいさまは偶然にも彼女を養女として引き取ることになった。

つまり、今日に至るまで、慕婉柔は雲詩詩の身分を騙っていたのか？

今の彼女が持っているすべては、本来雲詩詩のものだったのか？

だから、雲詩詩の出現に慕婉柔は警戒し、手段を選ばずこの目の上のたんこぶを除去しようとしたのか？

そして、慕雅哲の本来の婚約者は、雲詩詩だったのか？

つまり、慕婉柔の殺人の動機は口封じだったのか？

「お前がどんな罪で入ってきたか知っているぞ。だから、嘘はつくなよ！」

李翰林は彼の頬を叩きながら尋ねた。「お前、この女の子に何か非道なことをしたのか！？」

「していません！」羅翰今は即座に首を振った。「本当にしていません！」

「していない！？」李翰林は声を荒げた。

羅翰今は小便を漏らしそうなほど怯え、「天に誓って、本当にしていません！この子は引きこもりがちで、話すことも好まず、誰とも親しくなりませんでした！確かに手を出したことはありますが……でも、そこまでのことはしていません！」

「手を出した？」雲天佑の目が鋭く光り、端正な顔に暗い殺気が漂った。

鋭い眼差しに羅翰今は冷や汗を流し、すぐに許しを請うた。「本当に他のことはしていません！」

「どんな風に手を出したんだ？はっきり言え！」李翰林は叱責した。