第87章 特別功労賞

「こんなに下劣なんて？」

「以前、天藝社長と不倫していたことは業界の皆が知っていたけど、まさか彼女がこんなに大胆で、私生児を宿したまま受賞しに来るなんて」

「手に入れた賞杯も飛んでいってしまった。本当に悲惨だわ。でも丁度いい、こういう人間は、こういう教訓を受けるべきよ。一番高いところから落ちて、死んでしまえ！」

「これは全国生中継なのよ。単なる恥をかくだけじゃすまないわ」

客席からのひそひそ話と舞台上の光景が、非常に鮮明な対比を成していた。墨雨柔は目を見開いて唐寧を睨みつけ、瞳孔には憎しみと致命的な冷たさが満ちていた。

なぜなら彼女は突然気づいたのだ。こんなにも彼女を憎み、何としても彼女を倒そうとする人間は、唐寧しかいない、唐寧だけだと！

唐寧はきっと彼女の妊娠のことを早くから知っていたのに、これほどまでに上手く隠し、完璧に計画していた。

唐寧はあまりにも我慢強く、そして残酷すぎる！

彼女は墨雨柔が威張り散らしているときに告発せず、彼女を踏みつけているときに反撃せず、このような場所、このようなタイミングを選んで、彼女を底なしの奈落に落とし、生きるも死ぬもままならない状況に追い込んだ……

なんと巧妙な手段だろう……

墨雨柔は顔を覆って泣いた。彼女は本当に唐寧を見くびっていた。本当に後悔し、苦しんでいる。どうして唐寧に対して警戒心を持たなかったのだろう？

「唐寧、どうしてこんなに酷いことができるの？」墨雨柔はほとんど歯の隙間からこの数文字を絞り出した。怒りと泣き声を必死に抑えながら。

唐寧は墨雨柔を見つめ、冷静で落ち着いていた。瞳には静かな炎が宿り、まるで何かの冗談を見ているかのようだった。「これは、あなたが受けるべき報いじゃないの？墨雨柔、あなたは完全に失格よ」

墨雨柔は歯ぎしりしながら唐寧を見つめ、この底知れない女を見た。彼女は突然凄まじい笑い声を上げ始めた。そして体が徐々に重くなっていくのを感じた……

「血……見て！墨雨柔が出血している。もしかして流産？」

「なんてこと、妊娠してたのは本当だったのね……吐き気がする」

「こんな人間、他人の婚約者を奪って、あちこちで自慢していたなんて、流産して当然よ。天道の巡りね、天も見過ごせなかったのよ」