第277章 この権社長は、イカサマの達人だった

権家の父子が去った後、墨霆はようやく唐寧の方を向き、甘やかすような、そして諦めたような表情で尋ねた。「そんなに早く承諾して、負けないか心配じゃないのか?」

「私はデクシュウが打てるわ」唐寧は墨霆に答えた。「私がいるのに、あなたが出る必要なんてあるの?」

「遊び事は二代目坊ちゃんの得意分野だぞ。本当に勝てると思うのか?」

「あなたは絶対に私を負けさせないわ」唐寧は顔を下げ、深く息を吸った。「なぜ私が打てるのか、聞かないで。それは過去の話よ。でも今夜は、あなたのために一度戦いたいの。いいかしら?」そう言って、唐寧は墨霆の袖を掴んだ。

墨霆はその細い右手を見て、急に笑った。「断れるわけがないだろう?」

「でも、もし私が負けたら……」

「そうしたら、妻の代わりに罰を受けて、お前の代わりに権燁に負けるしかないな」