第341章 墨霆の私事に口を出すな！

午後2時半、喻楓はCOMOホテルで結婚式を挙げた。宮殿のように豪華なゴシック様式の教会で、すべての来賓が席に着いて式を見守っていた。

　　その間、凌子懿は唐寧の左下に座り、時おり彼女に視線を向けていた。怒りと敵意を含んでいるようだった。しかし、唐寧は終始微笑んでおり、最初から最後まで墨霆の保護下にいた。

　　結婚式の儀式の後は、新郎新婦の謝恩会だった。

　　このような場では、当然各事務所のマネージャーが自社のタレントを連れて、協力や資源を求める機会となる。

　　唐寧や霍菁菁のような地位の女優は、もはや人の顔色を窺う必要はない。しかし...唐寧がファッションウィークに姿を現さなかったため、モデルたちの間で話題になり、『おろかな弟子』に出演する可能性があるため俳優たちの議論の的となり、さらに芸能界の大物とどうやって関係を持つかという、セクシーな話題の一つにもなっていた。

　　彼女がどこに行っても、避けられない話題の人物となっているようだった。

　　噴水のある欧風の宴会場で、墨霆は唐寧の腰に手を回し、来客の間を歩き回っていた。しかし、しばらくすると墨霆は携帯を取り出し、唐寧に言った。「急な電話に出なければならない」

　　唐寧はうなずき、白いベアトップのロングドレスを着てハンドバッグを持ち、入口で待っていた。そのとき、50代半ばの夫婦が70代くらいの老人を支えながら、ゆっくりと宴会場に入ってきた。

　　その中年女性を見て、唐寧は突然固まった。他でもない、その女性は韓宇凡の、有名な映画監督に嫁いだ母親だった。

　　こんな場所で出会うとは思わなかった...

　　唐寧は相手にわずかにうなずいて挨拶したが、相手は全く取り合う様子がなかった。

　　韓母は唐寧を極めて冷たく一瞥し、その後夫に言った。「気分の悪くなる人を見てしまったわ...」

　　「どうしたんだ？」

　　「私の息子を台無しにして、最後には出世した女モデルよ！」韓母は顎で唐寧を指し、傍らの老人と夫に説明した。「まったく因縁めいた出会いね！」

　　「君の恨みを晴らしてやろうか？」

　　「今はいいわ。喻楓に顔を立てましょう」韓母は冷ややかに鼻を鳴らし、夫の企みを止めた。