第412章 刀山火の海も、恐れずに行く

夏景宜は教養ある家庭に生まれ、歌うことがずっと趣味で、特にポップミュージックが好きだった。彼女が海瑞に入った理由は、声質や歌唱力ではなく、作曲能力があったからだ。

彼女と唐靖宣は確かに共演したことがあり、比較的親しい関係にあった。そのため、彼女は生きた的となり、周さまに目をつけられてしまった。

芸能界の水は常に深く、彼女は心の準備をしていた。華やかな表面の裏には、常に無数の暗闇が潜んでいる。

しかし……

そのために、彼女は陥落して悪事に加担しなければならないのか?

環境は彼女にはどうすることもできないが、自分の選択は決められる!

海瑞に戻ると、練習室で新曲の練習をしている唐靖宣を見かけた。唐靖宣のクリアな声を聞いて、彼女は一瞬躊躇したが、それでもドアを開けた。

「洛星、話があるんだけど」

唐靖宣はギターを置き、夏景宜を見てから立ち上がって言った。「じゃあ、場所を変えようか?」

「屋上に行きましょう」

二人は前後して屋上に向かった。唐靖宣は手すりに寄りかかり、夏景宜を見た。「さあ、どうしたの?」

「あなたの本名は唐靖宣で、唐寧の弟なの?」夏景宜は両手を握りしめて言った。実際、彼女の心はまだ緊張していた。自分の選択が正しいのか間違っているのか分からなかったからだ。

唐靖宣は少し驚いたが、夏景宜の整った顔を見つめてうなずいた。「どうしてそれを知ったの?」

「『おろかな弟子』と同時期に公開された『魔王槍王』のプロデューサーが、私とあなたが共演したことを知って、私の弟を捕まえて、あなたから唐寧に関する情報を聞き出すよう脅迫してきたの」夏景宜は急いで説明した。

そよ風が彼女の髪を揺らし、彼女をより純粋で誠実に見せた。

「私はそんなことをしたくないし、人に脅されるのも嫌。でも、私の弟を救う方法を一緒に考えてくれないかな?」

唐靖宣は相手を見つめた。相手は妥協できたはずなのに、正直に話すことを選んだ。

「ごめん、僕たちとは全く関係のない人が、僕たち兄妹のせいで危険に陥るなんて、考えもしなかった」

「あなたも望んでいなかったことだとわかっています。今の急務は、私の弟を救うことです。彼はまだ17歳なんです……」