「これからもし何か困ったことがあったら、私に相談してください」と唐靖宣は真剣に許青顏に言った。「どんなことでも」
「ええ」許青顏は何気なくうなずいた。おそらく、自分が本当に唐靖宣の助けを必要とする日が来るとは思ってもいなかったのだろう。
……
この一件で、許青顏と唐靖宣は再び芸能界で話題となった。確かに、宋妍書と唐靖宣は以前から並々ならぬ関係にあったが、今では水と油のように相容れない仲になってしまった。
目の利く人なら分かるはずだ。宋妍書の婚約パーティーで、宋妍書の婚約者は明らかに唐靖宣を侮辱しようとしていた。しかし、あいにく唐靖宣はその日、許青顏を連れていた。
結果として、策略は失敗に終わり、許青顏によって婚約パーティーは大混乱に陥った。
芸能ニュースは至る所で報道され、唐靖宣と許青顏の写真が至る所に掲載された。これは唐靖宣にとっては何の影響もないかもしれないが、許青顏にとっては災難だった。
許とうさんは面目を失ったと感じ、許青顏を家に閉じ込め、さらには部屋に鍵をかけてしまった。
……
同じ時刻、カイユエ・ディージンにて。
唐靖宣は唐寧とスープを飲んでいた。
「今回のことで、あなたと妍書の間は、もう永遠に交わることはないでしょうね」と唐寧は顔を下げて唐靖宣に尋ねた。「おじいさまは最初、あなたたちの縁を期待していたのに、結果は...。ある事は早く気付いて良かったわ。私は妍書という人を否定はしないけど、彼女の感情の世界は本当に理解できないわ」
「姉さん、言いたいことは分かっています」と唐靖宣は真剣に答えた。
「それなら、今度は許青顏という人について話しましょう。新聞は全部読んだし、動画も見たわ。彼女はあなたという旧友のために、本当によくしてくれたわね」
「彼女は可愛いよ」と唐靖宣は思わず笑みを浮かべた。「気取らなくて、正義感が強くて、なのに自分は...」
ここまで言って、彼は突然言葉を止めた。事件が起きてから丸一日経っているのに、許青顏から全く連絡がないことに気付いたのだ。
「今、あなたたちのニュースがこんなに話題になっているのだから、あなたも何か対応すべきよ。彼女のお父さんは優しい父親ではないと聞いているわ。あの子があなたのために声を上げたのに、誰も守ってあげないのはよくないわ」