第588章 最も注目される賞

「では、アカデミー脚本賞受賞者であり、国内で最も価値のある監督である陳風先生をお迎えし、ご挨拶と本日の飛天獎の最初の賞の発表をお願いしたいと思います」

拍手が鳴り響く中、白髪まじりの老紳士が黒縁の眼鏡をかけ、きらびやかな授賞台にゆっくりと上がってきた。マイクの前で両手を組み、力強い声で話し始めた。

「お世辞は十分に言われてきましたので、今回は多くを語りません。ただ一つ、私の心に非常に興味深く感じたことをお話ししたいと思います。今年の新人賞は非常に競争が激しく、その注目度は今夜発表される他の賞を超えるほどです。これは飛天獎の歴史で初めてのことです」

「そこで、私はノミネートされた俳優たちの作品を見ました。余蓉の『栄光』、代子文の『古い部族』、王思雯の『緑の血弾』、そして唐寧の『奇妙な夫』、さらにノミネートを取り消された楊熙の映画作品も……」

「これらの映画を見終えた後、私は個人的にその中の一作品を非常に気に入りました。もちろん、具体的にどの作品かは今は申し上げませんが、ただ一言言いたいことがあります。それは……この映画によって、俳優という職業には、まだ魂を注ぎ込もうとする人がいることを見せてくれたということです」

「だからこそ、私はその俳優を尊敬しています。彼女の真摯な姿勢は、私たち一生を映画事業に捧げてきた者たちに劣らないものだからです」

「これくらいにして……では、第37回飛天獎の助演女優賞の受賞者を発表させていただきます。これは今夜最初に発表される賞です。誰もが脇役から始まり、監督も脚本家も新人から始まります。今日の助演女優賞受賞者が、いつの日か主演女優賞を受賞することを願っています」

「最終結果は……スクリーンをご覧ください!」

陳風先生の言葉が終わると同時に、彼の背後の大スクリーンには助演女優賞のノミネート一覧が表示され始めた。スポットライトは5人のノミネート者に次々と当てられ、最後に一点に定まった。そしてその時、スクリーンには助演女優賞受賞者の名前が表示された。

その合間に、唐寧の目は偶然ある人物に止まった。その人物とは一度しか会ったことがないものの、彼女の記憶に深く刻まれていた。

張清平。

いわゆる映画協会会長であり、国家一級俳優兼監督のこの人物は、今、彼女の斜め前の席で威厳に満ちた様子で座っていた。