第615話 なぜスタントマンと契約する必要がある？

「私は戦えるし、戦うことを恐れないから！」

スタントマンは芸能界では常に切ない存在だ。特にアクションのスタントマンは最も過酷で、危険度が最も高いだけでなく、顔を出す機会も全くなく、スターになる可能性はほとんどない。

業界ではスタントマンの負傷の知らせがよく聞こえてくる。軽ければ障害が残り、重ければ命を落とすこともある。しかし、手にする報酬は、スターの千分の一にも満たない。

沈星嫣のその言葉を聞いて、安子皓は思わず彼女の前に歩み寄り、見下ろすように尋ねた。「全身保険に入ってるのか？」

「いいえ……」

「それなのにそんなに大胆なのか。」

沈星嫣は安子皓を押しのけ、軽く鼻を鳴らした。「私がスタントマンをやっていた時、あなたはどこにいたのかも分からないでしょう。」

「生意気な小娘だな……」

「私は七歳からスタントを始めたんです。」沈星嫣はかっこよく言った。「それに、あなたって変な人ですね。この前まで私に演技をするように迫っていたのに、今度は私が来たら、いろいろと難しく言う。」

「私が言ったのは演技をしろということだ。顔を出す方のね。スタントマンのような仕事は他の人に任せておけ。お前を見てみろ、肩も担げないし、手も上げられないし、まさに……」安子皓の言葉が終わらないうちに、沈星嫣は直接安子皓の肩をつかみ、見事な背負い投げを決めた。動きは清潔で流暢で、一気呵成だった。

陳風は沈星嫣の動きに驚いたが、そんな小柄な体格でこれほどの爆発力を持っていることに感心せざるを得なかった。

「私を採用する？」沈星嫣は安子皓を押さえつけながら尋ねた。

「聞くが、どうしてもスタントマンをやりたいのか？」安子皓は床を叩きながら振り返って沈星嫣に尋ねた。

「スタントマンしかやりません。」

なぜなら彼女にはスタントマンしかできなかった。顔を出す役になると、すぐに体が硬直し、緊張で手足がぎこちなくなってしまう。だから彼女は、無名のスタントマンでいることを選んだ。

「好きにしろ。」安子皓は説得できず、彼女とも親しくないので、他人の決定に口出しできない。「スタントマンをやりたいなら、私を倒したところで大したことじゃない。もし我々が用意したカンフーの達人に勝てたら、ヒロインのスタントマンを考えてもいい……いや、ヒロインにスタントマンは必要ない。」

「なぜですか？」