第622話 それは彼女が自業自得だ

沈星嫣は大作映画に出たがっていたが、安子皓が全力を尽くして交渉しても、今や誰も彼女を起用しようとはしなかった。

たとえ起用してくれる人がいたとしても、彼女はすでにチャンスを逃してしまっていた。

最終的に、安子皓は沈星嫣を連れてDK社の面接に行った。

もし誰か彼女にチャンスをくれる人がいるとすれば、それは林聲しかいなかった。もちろん、林聲は唐寧の顔を立てて、DK映像文化に沈星嫣を推薦したのだった。

「林聲の新作映画『巨獣』が今キャスティング中で、ヒロインはまだ決まっていない。試してみたら?」

「ヒロイン?」沈星嫣は自分の鼻を指さし、明らかに信じられない様子で、「私にはヒロインは演じられません……」

「ヒロインのスタントマンだ」安子皓は腕を組んで、冷静に説明した。「林聲の主演作品だぞ。唐寧のように彼の認めを得られる人がどれだけいると思う?ヒロインのスタントマンでさえ、争奪戦になるんだ……」

「前はアクション俳優をやらせようとしたら、スタントマンをやりたいと言い、今度はスタントマンをやらせようとしたら、アクション俳優をやりたいと言う。一体何がしたいんだ?」

沈星嫣は後ろから安子皓を見つめ、彼の背中を見ながら、突然心が苦しくなった。

「今こんな状況になって、まだ雇ってくれる人がいるだけでもいいじゃないか……」

その言葉を聞いて、沈星嫣は急に足を止めた。「他人に侮辱されるのは十分です。あなたまでそんな酷いことを言うの?」

安子皓も足を止めたが、振り向かなかった。「もし私がずっとあなたのお嬢様の気まぐれを甘やかし続けることを望むなら、あなたは永遠にアクション俳優とスタントマンの間を行き来することになるでしょう。現実を見なさい。この業界で純真なだけでは生き残れないんだ。」

すぐに二人はDKの責任者に会ったが、相手の二人を見る目つきに、沈星嫣は非常に不快感を覚えた。

「声さんからの依頼なら、私も何も言うことはありません。このチャンスを与えましょう。ただし、一度きりです。私について来てください。」

安子皓は顎で沈星嫣に相手について行くよう合図し、自分は外で待つことにした。