第716章 ベイビー

一方で、唐寧はまだ出産していないため、病院は厳重な警戒態勢を取っていた。

妊婦は一般的に予定日を2週間以上過ぎると、胎児に大きな危険が及ぶ可能性がある。白麗華はそれをよく知っていたので、夜遅くにこっそりと墨霆に告げた。「薬で陣痛を促す必要があります。そうしないと、妊娠期間が長引くにつれて、お腹の赤ちゃんの危険性が増していきます。」

墨霆はそれを聞いた後、ベッドに横たわる唐寧を見つめ、黙り込んだ。

もし最初からこれほどの害があり、唐寧がこれほどの苦しみを味わうことを知っていたら、最初から子供を望まなかっただろう。今のように唐寧のことばかり気にかけ、心配で仕方がない状態にもならなかっただろう。

実は唐寧は眠っていなかった。母子の会話を聞いた後、苦労して体を起こし、かすれた声で墨霆に言った。「お母さんの言う通りにしましょう。私は乗り越えられます。」

しかし、唐寧が強さを見せれば見せるほど、墨霆の罪悪感は深まっていった。

それでも、唐寧は優しい笑顔を向けた。それは世界で最高の慰めのようだった……

墨霆は落ち着きを取り戻し、うなずいた。「医師と相談してくる。」

医師は墨霆の要望を聞いた後、微笑みながら説明した。「墨夫人の状態を見て、陣痛促進が必要かどうか判断いたします。ですが、墨さん、ご安心ください。私たちは墨奥様とお腹の赤ちゃんの健康を必ず全力で守ります。」

この世に絶対的なことなどあるだろうか？リスクがある限り、墨霆は心配せずにはいられなかった。

「霆、あなたはこんな風だったことないわ。私はただ赤ちゃんを産むだけ、そんなに危険なことじゃないのよ……」

夜遅い病室で、淡い黄色い光の中、墨霆は唐寧の手をしっかりと握りしめた。「ベイビーが生まれたら、絶対に優しくしてやらない。こんなに長くお腹の中にいて、出てこようともしないんだから。」

「ベイビーは、きっとあなたが彼の温かい抱擁を奪おうとしているのを知っているから、もう少しお腹の中にいたいのかもしれないわね。」

墨霆は少し黙った後、突然唐寧に言った。「母さんが産婦にも危険があると言っていた。だから、この数日間ずっと考えていた。もし君に何かあったら、僕はどうすればいいのか。」

「でも考えても考えても、答えが見つからない。ただ怖い、今まで感じたことのないような恐怖を感じている。」