第782章 強烈な登場!

……

「でも、この数日間、沈星嫣はもう仕事に復帰したそうよ。友達の話では、CMの撮影の予定だったけど、降板されたみたいね」

「今、こんなに大騒ぎになってるのに、沈星嫣は随分と図太い神経してるわね」

「私なら、こんな目に遭ったら、絶対に人前に出る勇気なんてないわ。怖すぎるもの」

「私が思うに、今回の件は簡単には収まらないわ。見てなさい、沈星嫣がプレッシャーに耐えられなくなったら、きっと謝罪に出てくるはずよ」

これは沈星嫣がオーディション会場のトイレで耳にした会話で、業界人たちの噂話だった。

その時、沈星嫣は個室の中にいたが、引き下がることはなかった。まるで噂話をしていた人たちを見なかったかのように、二人の前を通り過ぎ、冷静に二人の前で手を洗い、メイクを直した。

相手は現場を押さえられた恥ずかしさを感じ、沈星嫣のこの落ち着きぶりを見て、さらに手強い相手だと感じ、すぐに沈星嫣を避けてトイレを出て行った。

この映画は、唐寧が推薦して、沈星嫣にオーディションを受けさせたものだった。

確かに、会場には多くの人が彼女を指さして噂していたが、沈星嫣の心境は以前とは違っていた。噂するなら好きにすればいい、大したことじゃない、どうせ自分の肉が減るわけでもないのだから。

「見て、沈星嫣よ。まだオーディションに来る勇気があるなんて」

「誰か早く被害者の家族に電話してよ。沈星嫣がここでオーディションを受けてるって。それも良いことをしたことになるでしょ」

「そうね、目に物を見せてやりましょう」

誰かが密かにメディアに電話をし、メディアはすぐに被害者の家族に通報した……

実は、沈星嫣はこのような事態を予想していたが、被害者の家族が本当にオーディション会場に押しかけてきた時、やはり耐え難い気持ちになった。

その感情はあまりにも複雑で、罪悪感のようでもあり、納得できない気持ちのようでもあり、言い表すのが難しかった。

「私の夫は病院で生死の境をさまよっているのに、あなたはまだここでオーディションを受ける面の皮があるの?まだ映画に出たいの?あなたみたいな人でなしに、そんな資格があるの?」

多くの人々が現場で見物していたが、誰も相手が沈星嫣を引っ張るのを止めようとはしなかった。