夕食が終わって両親が帰ったばかりのとき、陸景禮は尻尾を振りながら兄のところへ功を請いに行った。
「お兄ちゃん、さっきの僕すごかったでしょ?すごかったでしょ?」
尻尾を振り始めたところで、小さな物が兄の手から彼に向かってひゅっと飛んできた。
陸景禮は手を上げてそれを受け取り、「なんだこれ?」
よく見てみると、目が点になった。
なんと車のキーだった。
彼が長年欲しがっていた、世界に1台しかない、100周年記念版ブガッティのスポーツカーのキーだ!!!
「わぁ!私の愛しい宝物!」陸景禮はキーを抱きしめて熱烈にキスをした。「お兄ちゃん大好き!」
以前どれだけ兄にねだっても譲ってくれなかったのに、今回は両親の前で少し助け舟を出しただけで直接投げてくれた。
この寧夕は兄の心の中で想像以上に高い地位を占めているんだな!
陸景禮は考えれば考えるほど心配になってきた。「あのさ、お兄ちゃん、本当に寧夕でいいの?しかも遊びじゃなくて、結婚するの?」
「結婚だ。」陸霆驍の口調には他の可能性を許す余地が全くなかった。
陸景禮はそれを聞いて溜息をつき、経験者として重々しく諭すように言った。「じゃあ、心の準備をしておくように忠告しておくよ。女性を追いかけるのはゲームをするのと似ていて、難易度レベルがあるんだ。イージーモード、ノーマルモード、ハードモード、地獄モード。そして寧夕は、間違いなく地!獄!モード!だ!
女性なら誰でも弱点があるものだけど、寧夕はどうだ?金?彼女があんなに美人なのに今まで散々な目に遭ってきたことを見れば、絶対に援助交際やキャスティングカウチを受け入れない人間だってわかるだろう。
愛?彼女が海外にいた時に振った男の数を見てみろよ。元カレは芸能界中に散らばっていて、しかもみんな並みの身分じゃない。あの名簿を見た時は本当に参ったよ。この点では誰にも負けたことないぜ!
子供?できちゃった婚なんて考えるのもやめろ。彼女は心の全てをキャリアに注いでいて、子供を持つ気なんて全くないんだ。
俺様が自ら出馬しても八割方ゲームオーバーだぜ。お前みたいな情緒指数マイナスの初心者じゃ、経験値を与えに行くようなものだ!」