第067章 月光の下のキス

陸邸。

  部屋に戻って自分のパジャマに着替えた後、寧夕は雷のような速さで小包子ちゃんのところに飛んで行った。

  「坊ちゃん、今夜おばさんちょっと暗いのが怖いの。一緒に寝てもいい?」

  小包子ちゃんはもちろん大喜びで、嬉しそうにベッドの大半のスペースを空けてあげた。

  「ありがとう、宝物〜宝物おやすみ〜」

  おばさんの守り神よ、今夜はあなたに命を守ってもらうわ……

  今日起こったことは本当にスリリングで、彼女の小さな心臓は今でもドキドキと激しく鼓動している。

  彼女には感じられた。彼女と陸霆驍の間にあった朦朧とした膜が、今日のことで触れただけで破れそうなほど脆くなっていることが……

  もし本当に破れてしまったら、そのときどう対処したらいいのか本当に分からない……

  幸い抱きしめている小包子ちゃんの睡眠効果は抜群で、彼女はドキドキしながら30分ほどで徐々に眠りについた……

  寧夕には小包子ちゃんという安眠があったが、ある人は一人寝の夜を過ごし、深夜の書斎はタバコの匂いが立ち込めるほどだった。

  ふん、だから程峰があれほど多くの日数を費やしても、あの日撮影現場で寧夕にプレゼントを贈った二人が誰なのか突き止められなかったのか。そのうちの一人が「內通者」だったとは。

  エロ妖王……

  彼はこのとき初めて思い出した。彼らには家族のグループがあり、江牧野のそいつがそのグループで使っているニックネームがまさにこの奇妙な名前だったことを。ただ、これまで彼はそのような連想をしたことがなかった。

  そしてYSというサインの男については、今のところ何の手がかりもない……

  暗闇の中、男はタバコの吸い殻を押し潰し、立ち上がって部屋を出た。

  そっとゲストルームのドアを開けると、中は空っぽだった。

  陸霆驍は眉をひそめ、隣の部屋に向かった。

  案の定、寧夕は坊ちゃんを抱きしめて、ぐっすりと眠っていた。

  この娘め、なかなか賢いな。

  しかし、これで済むと思っているのか?

  陸霆驍は小さなベッドに近づき、坊ちゃんが彼女の服の端を掴んでいる小さな手をそっと外し、代わりにぬいぐるみを持たせた。そして寧夕をそのまま抱き上げた。