第061章 可愛い孫よ

寧夕はすばやく後ろのトイレに駆け込み、個室に入ると、大きな黒いショルダーバッグから道具を取り出し、メイクを始めた。

トイレから出てきたときには、寧夕はすでに白髪まじりのおばあさんになっていた。

携帯の着信音が鳴った。

寧夕が携帯を取り出すと、案の定、江牧野からのメッセージだった。

エロ妖王：寧小夕！5分以内に俺の前に現れろ。さもないと、俺たちの関係を公表するぞ！

くそっ！

寧夕は最後にもう一度メイクをチェックし、急いで人混みの最も混雑している場所に向かった。

寧夕は困惑と焦りの表情を浮かべ、「ゴホゴホ、すみません、通してください...ゴホゴホ、親切な皆さん、この老婆に野さんを一目見させていただけませんか？」

「あっ！みんな押さないで！ここにお年寄りのおばあさんがいるわ！」

「えっと、おばあさん、なぜ牧野に会いたいんですか？もしかして牧野のファンなんですか？」

「なんてこった！さすが牧野は老若男女に人気だね！おばあちゃんファンまでいるなんて！みんな、おばあさんに道を開けてあげて！」

「おばあさん、おいくつですか？」

...

寧夕は腰を曲げ、背中をさすりながら、何度も感謝の言葉を述べた。「お嬢さん、ありがとう、ありがとうございます。私は80歳です。私はね、この若い人がとても好きなの。だってね、彼は私の孫にそっくりなんです！私の孫は遠くで働いていて、年に数回しか会えないんです...」そう言いながら、涙を拭き始めた。

「牧野！牧野！ここにおばあちゃんファンがいるわ！会ってあげて！」

「そうよ、会ってあげて！かわいそうだわ...」

ファンたちの熱心な助けを借りて、寧夕はすぐに中に押し入ることができた。

群衆に囲まれた中心で、江牧野は指で後ろに不揃いの金髪をかき上げ、サングラスを外すと、その端正な顔に疑いの色が浮かんだ。「おばあちゃんファン？」

「そうよ！80歳のお年寄りなの！こんな暑い日に空港まで来てあなたに会いに来たのよ！あなたのことがとても好きだって。だってあなたが外国で働いてる孫にそっくりだからって！」

ファンの言葉が終わるか終わらないかのうちに、江牧野は群衆が開けた通路を通って、灰色の粗布の服を着て、杖をつき、しわだらけの顔のおばあさんを見た...