第082章 君は去りたがってるのか?

寧夕は必死に彼に料理を取り分けながら、「あはは、私...冗談よ...気にしないでね!」

陸霆驍は全く怒っている様子もなく、むしろ機嫌が良さそうに見えた。唇の端を少し上げて言った。「悪くない考えだ」

寧夕は呆然とした。「...」彼がこの考えを良いと思うなんて?!

「寧夕」陸霆驍が突然真剣な眼差しで彼女を見つめた。

寧夕はその深い瞳に見つめられ、緊張して「な...なに?」と言った。

「もし気が変わったら、いつでも俺のところに来ていい」と陸霆驍は言った。

寧夕はそれを聞いて胸がドキリとした。彼が指しているのは「彼と結婚する」ということだと分かっていた...

前回はっきりと断った後、陸霆驍は再び持ち出さなかったが、彼女は常に陸霆驍の態度の変化を感じ取っていた。そして二人の間のますます曖昧になっていく雰囲気も...

最悪なのは彼女の心が、徐々に彼女の制御から離れていっていることだった...

本当に江牧野が言ったように、彼女は美男に惑わされているのだろうか?

5年前のあの出来事を経験した後、もう二度と誰かを愛することはないと思っていた。むしろ長い間、彼女の心理に大きな問題が生じ、男性を極度に拒絶し嫌悪していた。特にクズ男を見ると、体内の焚寂殺気を抑えきれず、天罰を下すかのように彼らを滅ぼしたいと思っていた...

ここ数年で彼女の心の状態は落ち着いてきたが、男性という生き物に対してはまだ敬遠していた。まして誰かと結婚するなんて、彼女にとっては夢のまた夢だった。

しかし、目の前のいつも無表情な顔をしている、威圧的なオーラを放ち、しばしば彼女に恐れを抱かせるこの男が、知らず知らずのうちに彼女の心臓の周りの厚い殻に小さな隙間を開けていた...

火鍋を食べ終わった後、帰り道で坊ちゃんは食べ疲れて眠ってしまった。小さくて柔らかな体を寧夕は抱きしめたまま手放したくなかった。

ああ、本当に困ったことだ!大包子ちゃんだけでも十分混乱しているのに、小包子ちゃんまで...

彼女は一緒にいる時間が長くなるほど小包子ちゃんが好きになっていることに気づいた。一日会わないだけで様々な思いにかられ、今日彼を抱きしめなかったら何かが足りないような気がしてしまう。

これは良い兆候ではない...