第104章 誰にだって黒歴史くらいある

馮浩洋は眉間を揉みながら、ついにコミュニケーションを諦めた。愚か者と長所短所を論じるのは、まさに最も愚かな行為だ。

　　会社は賈青青に多くの労力を費やしたが、今回の件は取り返しがつかないことは明らかで、損失がどれほど大きくても見捨てるしかない。

　　馮浩洋の決意を見て、賈青青は慌てて最後の藁をも掴む思いで寧雪落に飛びついた。「雪落ねえさん、助けて！常さんに私を連れて行かせてください！絶対に言うことを聞くから！謝罪文を出すって約束します！」

　　常莉はそれを聞いて即座に恐ろしい顔をした。彼女に賈青青を引き取らせるだって？寧雪落がそんな無茶な話を持ちかけるはずがない。

　　寧雪落はもちろん賈青青のような脳みそ欠陥ではなく、困惑と悲しみの表情を浮かべながら言った。「青青、私が助けたくないわけじゃないの。さっき寧夕の言葉を聞いたでしょう？彼女は手を貸す気はないし、それに会社の決定だから、私にもどうしようもないわ。」

　　この件が出た時点で、彼女は賈青青が終わったことを知っていた。ただ、彼女の最後の価値を利用して寧夕を引きずり下ろそうとしただけだ。残念ながら、馮浩洋はすでに謝罪が何の意味もないことを見抜いており、さらに会社の別のタレントも巻き込む可能性があったため、最終的に賈青青を見捨てることにした。

　　寧夕に対抗する良い刃だと思っていたのに、まさか自分を失脚させるほど愚かで、さらに寧夕の人気を大幅に上げてしまうとは。こんな人物にもはや力を費やす価値はない。

　　「寧夕！このくそばばあ！売女！覚えておけ、私は死んでもあんたを道連れにしてやる！」賈青青はついに絶望し、全ての怒りを寧夕にぶつけた。最後には馮浩洋が警備員を呼んで引きずり出すまで続いた。

　　このような人物に対して、寧夕は嫌悪感すら持つ価値もなく、ただ同情するだけだった。今になってもまだ自分が利用されて捨て駒にされたことに気づいていないなんて。

　　馮浩洋は寧夕を見て、表情がだいぶ和らいだ。「寧夕、この映画をしっかり撮りなさい。効果が良ければ、会社は重点的にあなたを育成するつもりだ。ただし、さっき雪落が言ったことにも理があるわ。普段は控えめにして、不要なトラブルは避けるように。」