第116章 本当にキスしたらどうなるの

撮影開始。

  通りの両側には至る所で提灯や謎解きを売る露店商が並び、賑わう人々は手に提灯を持ち、笑い声が響き渡っていた。

  孟長歌は医館で診察をしていた孙涣卿を無理やり引っ張り出した。

  カメラは二人に追従して動き、レンズの中で少年少女が灯りで明るく照らされた長安の通りを駆け抜ける様子は、この上なく美しかった……

  このシーンではセリフは少なく、主に場面と主人公の表情の変化が重要だった。

  孟長歌は興奮気味で、孙涣卿は最初は気が進まない様子だったが、やがて少女の熱意に感染され、二人で人混みの中を駆け抜けていった。

  しばらく歩いた後、孙涣卿は突然自分の手がまだ少女に握られていることに気づき、慌てて振り払おうとした。

  しかし、孟長歌は頑固にしっかりと握り締めたまま、まるでこの手は自分のものだという表情を浮かべていた。

  孙涣卿は焦って、「孟さん、自重してください。男女は親しく触れ合うべきではありません!」と言った。

  孟長歌は眉をひそめて彼を睨みつけ、「あなたったら本の虫ね。もし私があなたの手を離したら、はぐれてしまったらどうするの?」

  「はぐれればはぐれたで構いません!」孙涣卿は極度の恥ずかしさと怒りで言葉を選ばずに言い放った。

  「孙涣卿!あんたね……」孟長歌は怒って彼の手を振り払い、人混みの中に消えていった。

  赤い影が人々の中に徐々に消えていくのを見て、孙涣卿の表情は次第に焦りに変わっていった。最近、首都では花摘み強盗が出没しているという噂があり、すでに何家もの娘が失踪しているという。今日の街はこんなに混んでいる、彼女一人の女の子で、もし何か起こったらどうしよう!

  この時の孙涣卿の頭の中には孟長歌への心配しかなく、彼女が世間知らずの小魔王様で、たとえ花摘み強盗に遭遇しても、むしろ相手が不運だということを完全に忘れていた。

  カメラのレンズは孙涣卿が人混みの中で孟長歌を探し回る様子を追い続けた。孟長歌を見つけられずに崩壊寸前になったとき、突然肩を叩かれた。

  振り向くと、鬼の面をつけた人が彼の前に愛らしく立っており、得意げな口調で言った。「孫先生、私を探してたの?」