第146章 あなたの誘惑に耐えられない

くそっ、あんなに長く話して気を紛らわせようとしたのに、全然無駄だった!

  こいつはどうして急に女の子を誘惑し始めるんだ!

  最悪なのは、彼が全く無邪気な顔をしていて、それに気づいていないことだ!

  いわゆる無招勝有招、無誘甚有誘、これぞ誘惑の最高境地……ちくしょう……

  彼女はもう頭が混乱して、何を考えているのかわからなくなっていた……

  「また具合が悪くなったの?」陸霆驍は状況を見てすぐに心配そうな表情を浮かべた。

  寧夕はズキズキする太陽穴をさすった。単に具合が悪いだけではなく、再び湧き上がった激しい波は最初よりもさらに恐ろしかった。今、彼女の目に映る陸霆驍は少女漫画に登場する主人公のようで、感情を煽る背景音楽と、ロマンチックなピンク色の桜の特殊効果まで伴っていた……

  内なる理性と彼がもたらす人を惑わすピンク色の光とが激しく衝突し、彼女は自分が狂気に陥りそうだと感じた。

  寧夕が数秒のうちに突然息を荒くし、額に汗をかいているのを見て、陸霆驍は顔色を変えた。「一体どこが具合悪いんだ?さっきまで大丈夫だったじゃないか?それは……どんな具合の悪さ……あの……それとも別のものか?」

  陸霆驍は少し気まずそうに言った。彼女が先ほど言った言葉を思い出したからだ。彼女は彼が春薬よりも恐ろしいと言った。

  これは彼が聞いた中で最大の褒め言葉だろう。

  寧夕は赤く輝く瞳で、まばたきもせずにじっと彼を見つめていた。

  陸霆驍はそんな眼差しで見つめられ、自分の体も火がついたように感じた。

  寧夕は力強く首を振り、それから自分を後ろのベッドに投げ出し、諦めたように天井を見上げた。「はぁ、今夜はまだまだ耐えなきゃいけないみたい……陸霆驍、もし私がどうしても我慢できなくなったら、必ず私を気絶させてね!」

  陸霆驍は沈黙した後、「実は、俺は……」

  寧夕はすぐに彼の言葉を遮った。「ストップストップストップ、言わないで!お願いです、ボス様、私をお許しください。私は今、あなたの誘惑に耐えられません!」

  陸霆驍は眉を少し上げた。「何を考えているんだ?俺は、出ていけるって言おうとしたんだ。」