薬を置いた後、陸霆驍がドアをノックして寧夕に終わったかどうか聞こうとしたとき、バスルームのドアが中から開かれた。
寧夕は体全体を巨大なバスタオルで包み込み、毛虫のようにピョンピョン跳びながら出てきた。
「気をつけて!」陸霆驍は彼女が見えずに転倒することを心配し、急いで前に出て彼女を支えた。
寧夕はため息をつき、重々しく言った。「気をつけなければならないのは私じゃなくて、あなたよ、陸霆驍!」
「私が何に気をつけるんだ?」陸霆驍は理解できずに聞いた。
寧夕は当然のように言った。「もちろん私に気をつけるのよ!少し浸かっていたら力がほぼ戻ってきたけど、体内に潜む火の種が休眠中の火山みたいにいつ噴火するかわからないの!だからこういう状況では私から離れていた方がいいわ!もし私が獣性を発揮して抑えきれなくなったら、結果は深刻よ!私が暴れ出したら私自身も怖いのよ、言っておくけど……」
陸霆驍は口元を緩め、彼女の大げさな言葉遣いに苦笑せざるを得なかった。
実は、この結果を彼はかなり期待していた。
「薬を買ってきたけど、手伝いが必要か?」陸霆驍は尋ねた。
「絶対に必要ないわ。あなたの貞操のために、私が自分でやるわ!」寧夕は正義感あふれる表情で言った。
「俺の貞操……」陸霆驍は口角を微かに引きつらせた。
寧夕は目をパチパチさせて、「以前、結婚を前提とした性関係しか受け入れないって言ったでしょ?」
こんなに珍しい、自分に厳しく原則を守る良い男性を、もし彼の原則を破壊してしまったら、それこそ大罪を犯すことになる。
陸霆驍は眉間をつまみ、今からあの言葉を撤回してもまだ間に合うだろうか?
寧夕は言い終わってから、もごもごと言った。「あの、中に服を着てないの。」
陸霆驍は頷き、薬を彼女に渡してから自ら退いた。「外で待っているよ。」
「わかった。あ、そうだ。ついでに私の服やバッグなんかが外にないか探してくれない?」
「わかった。」
陸霆驍はリビングに行き、しばらく探した後、角に洗濯かごを見つけた。寧夕の物は全てその中にあった。