人を助けに駆け込もうとしていた陸景禮は、監視カメラの映像で状況が180度逆転するのを目の当たりにし、唖然として立ち尽くした。
「たった一人で……マジで銃を持ってきやがった!くそっ!もし俺の目が間違ってなければ、あの銃はベレッタ92Fだ!どこで手に入れたんだ?」陸景禮は信じられない表情を浮かべた。
そう言った後、頭の中に悲しい考えが浮かんだ:今日の2回目のヒーロー救出も失敗に終わってしまった!
室内で、張強は寧夕の手にある銃を見つめ、さっきのように何も言わずに発砲されないかと恐れていた。反応する余裕すら与えない、あまりにも残酷だ!
「俺、俺、俺……俺の言ったことは全部本当だ!嘘は一言もない!そうでなければ天罰が下るぞ!」
寧夕は何も言わず、彼の言葉を信じたかどうかも分からなかった。手の中で銃をくるくると回していた。その銃はもう花が咲きそうなほどだった。
お嬢さん!不発に気をつけてくれ!
張強は見ているだけでおしっこを漏らしそうになり、急いでおどおどしながら言った。「もし……もし偽証して、あの誰だ……あの寧雪落の指示だったって言えばいいんですか?条件なしで!あなたのすべての条件を無条件で満たします!誰だと言えばそうします!」
偽証?
彼女が欲しいのは動かぬ証拠だ!
寧夕は銃の柄で顎を軽くたたき、それから口を開いた。「相手があなたに送金した銀行口座とメールを私に渡して。」
「はい、はい、パソコンの中にあります。今すぐ持ってきます!でもメールは匿名で、口座も匿名の海外口座なので、お渡ししても役に立たないかもしれません……」張強はそう言って布団の中からノートパソコンを取り出し、相手のメールと送金明細を彼女に見せた。
寧夕はちらりと目を通し、問題ないことを確認してから口を開いた。「このパソコンは私のものよ。異議はある?」
張強は激しく首を振った。「ありません、ありません。お嬢様、どうぞお持ちください!何でも持っていってください!」
寧夕は冷笑した。ふん、お姉さんから一気にお嬢様になったか。
このような無頼漢と道理を説いても聞く耳を持たず、条件を出せば図に乗り、手を使おうとすれば更に狡猾になる。だから唯一の方法は暴力で制するしかない。