第223章 人間か犬か見分けがつかない

この一局、江牧野は完敗した。

  厳密に言えば、彼が戦争の角笛を吹き鳴らしたとたん、地雷を踏んでしまい、一歩も前に進めなくなってしまったのだ……

  敵軍が凶暴すぎる!

  寧夕は受け入れがたい口調で、「本当に予想外だったわ、芝芝ねえさんのような人でも目が曇ることがあるなんて!」

  江牧野は彼女を睨みつけた。「何を言ってるんだ!何が目が曇るだって?お前こそ目が曇ってるんだ!蘇衍のような男に惚れるなんて!」

  寧夕はため息をついた。「ああ、若かったせいね。人か犬か見分けがつかなかったのよ!」

  「お前……」江牧野は怒りで言葉を失い、最後に怒鳴った。「今になって陸霆驍のヤツがいかに陰険で狡猾かわかっただろう?俺を防ぐために、こんな恥知らずな手段まで使ってくるなんて!」

  そう言って寧夕の後悔の表情を見ようとしたが、彼女が頬杖をついて花魁のような笑みを浮かべているのを見た——

  「ボス様は本当に英明神武で、千里の外から勝利を決める先見の明があるわ……」

  江牧野の顔は鍋底のように真っ黒になった。「寧夕、お前はもう救いようがないな!」

  寧夕は突然グイッと顔を近づけ、意地悪そうな顔で言った。「ねえ、あなたと芝芝ねえさんの間って一体どういうこと?あなたの表情を見ると、単なる元カノっていうだけじゃなさそうね!」

  江牧野のヤツがただの元カノをこれほど警戒するはずがない。

  「自分のことだけ心配してろ!」江牧野は不機嫌そうに言い、そして躊躇いがちに尋ねた。「さっき彼女から電話があったけど、何て言ってた?」

  寧夕は肩をすくめた。「別に何も言わなかったわよ。脚本家が脚本を修正中で、約半月後に撮影開始するって知らせただけ」

  「明兄貴も俺に言ってたよ。修正後は孟長歌と孙涣卿のラインがより目立つようになるって。寧雪落と趙思洲の役が変更になるかはまだわからないけど、陸霆驍があんたをかばってるから、きっと変更になると思うよ!」江牧野の口調には少し酸味があった。