第290章 お母さんにもお父さんにもなれる

古い屋敷の裏口。

  寧夕は片手で坊ちゃんを抱き、もう一方の手でバイクの収納ボックスから小さな子供用ヘルメットを取り出し、続いてシートベルトも取り出した。

  傍らで陸景禮は口角を引きつらせながら見ていた。「準備万端だな!最初から坊ちゃんを連れ去る魂胆だったんだろう?知らない人が見たら、誰かと駆け落ちするつもりかと思うぞ!」

  「駆け落ちしたって何か問題でも?」寧夕は坊ちゃんにヘルメットをかぶせ、シートベルトで自分の腰に固定した。「坊ちゃん、しっかりつかまってね。出発よ!」

  寧夕が坊ちゃんを連れて颯爽と去っていく様子を見て、陸景禮は呆れて呟いた。「小夕夕ちゃんが坊ちゃんの失われた母性を補っているのか、それとも父性を補っているのか、本当にわからないな...」

  普通なら、父親が息子を連れてこんな冒険をするべきだろう?