第292章 私の宝物

「唐夕、大嫌い!!!」香香は泣きながら走り出した。

  寧夕はアカさんの肩を叩いた。「何ぼーっとしてるの?早く追いかけなさいよ!」

  アカさんは一瞬呆然としてから我に返り、寧夕とグータッチをしてから急いで追いかけた。

  みんなとしばらく話した後、寧夕は坊ちゃんにヘルメットを再び被せた。「みんな、今日は息子を連れているから都合が悪いんだ。先に失礼するよ。今度串焼きでも食べに行こう。焼肉にビールも好きなだけ注文していいからさ!」

  「夕子、約束だぞ!」

  「そうだぞ!ドタキャンするなよ!そうだ、美人の奥さんも連れてきて見せてくれよ!」

  「ははは、そうそう、絶対連れてこいよ!」

  寧夕はそいつらを横目で見て、冗談交じりに言った。「うるさいわね!美人だって言ったでしょ。あんたたち狼たちに見せるわけないでしょ?」

  「えー」と皆がため息をついた。

  夜が明けていき、空が白み始めた。気づかないうちに夜明けが近づいていた。

  寧夕は車を運転して静かな路地の入り口まで来た。

  遠くからも中から漂ってくる誘惑的な香りが感じられた。

  寧夕は車を停めて坊ちゃんを抱き下ろした。「お腹すいたでしょ?おばさんがおいしいものを食べさせてあげるわ!」

  寧夕は坊ちゃんの手を引いて、古びて見えるけどとてもきれいに掃除された朝食店に入った。小籠包一籠と、ワンタン二杯を注文した。

  小籠包は一つ一つが皮が薄くて具がたっぷりで、ワンタンも具沢山だった。特製のごま油を垂らし、ネギをかけて、寧夕はあっという間に一杯食べ終わって二杯目を頼んだ。

  顔を上げて小包子ちゃんを見ると、彼も大きな一杯をぺろりと平らげて、舌なめずりしながらまだ物足りなさそうな表情をしていた。

  寧夕は笑いながら言った。「あなたのお腹はこれっぽっちなのに。美味しくても一度にたくさん食べちゃダメよ。一杯で十分だから、小籠包を一つ試してみる?これもすごく美味しいのよ!」

  そう言いながら、小籠包を一つつまんで酢につけ、彼の小さな器に置いた。

  今度は小包子ちゃんがゆっくりと味わうように食べ始めた。まるで食べ終わるのが惜しいかのように。