第321章 良いお知らせ

翌朝。

仕事がないため、寧夕は目が覚めるまでぐっすり眠った。

昨夜のことを朧げに思い出し、まるで夢を見ていたかのように感じた。

しかし、スリッパを履いてクローゼットに向かうと……

昨夜閉め忘れた隠し扉が開いたままで、突然目に飛び込んできた。

寧夕:「……」

夢じゃなかったんだ……

本当に価値がないと思って受け取ったのに、今どうすればいいの?

それにこのクローゼット……

寧夕が頭を抱えていると、突然携帯の着信音が鳴り、林芝芝からの電話だった。

「もしもし、芝芝ねえさん?」

「今日は休みでしょう?今時間ある?特に用事がなければ会社に来てくれない?」

「大丈夫です、すぐに行きます!」

寧夕は気持ちを切り替え、すぐに身支度を整えて会社へ向かった。

その頃、盛世エンターテインメントの林芝芝のオフィスでは。

「くそっ!最近なんでも負けてばかりだ!」江牧野はデスクの向かいのソファに寝そべり、イライラしながらゲーム機を投げ捨てた。「寧夕はどこだ?いつ来るんだ!」

林芝芝は書類の山に埋もれながら、顔も上げずに答えた:「もう向かっているわ」

江牧野は体を起こし、目を細めて、終始冷静な表情を保っている女性を意味深げに見つめた。なぜか胸の中に不快な感情が湧き上がってきた。「林芝芝!ここには他の人もいないのに、なんで知らない人のようなふりをするんだ?」

林芝芝は横目で彼を一瞥したが、相手にしなかった。

彼女のその態度を見て、江牧野はさらに腹を立て、すぐに冷笑を浮かべた。「ふん、この前寧夕にどう言ったっけ?私たちは単なるアーティストと元マネージャーの関係だって?そんなに上手く演技できるなら、いっそ女優になればいいじゃないか!」

林芝芝はようやく顔を上げて彼を見つめ、ゆっくりと四文字を返した。「違うの?」

江牧野が口を開こうとした時、林芝芝はさらに質問を続けた。「それとも、寧夕に別の事実を話して欲しいの?」

江牧野は顔を真っ赤にして、パッと立ち上がった。「お前……」

外から「コンコンコン」とノックの音が聞こえた。

江牧野は急いで黙り、立ち上がってドアを開け、外の人に不機嫌そうに文句を言った。「遅すぎだろ!もう十何回も死んじまったぞ!」