第489話 まさか……奥……さん？

「あ……あの……ボス……このまま進みますか？」程鋒は慎重に尋ねた。

しかし、聞かなければよかったのに、聞いたとたん、憎しみの矛先が彼に向けられた。

陸霆驍の視線が氷の刃のように射抜いてきた。

程鋒は即座に口を閉ざし、もうそんなバカな質問はせずに、そのまま前に進み続けた……

「尚澤、後で私の友達が来たら、もう私のことを社長って呼ばないで、名前で呼んでくれていいから！」寧夕は特に宮尚澤に念を押した。

だって、ボスの前で社長と呼ばれるのは本当に恥ずかしいから！

「はい、分かりました！」宮尚澤は素直に答えた。

寧夕がバッグの中から携帯を探していて下を向いていたため、黒い車が静かに彼女の横に停まったことに気付かなかった。

車のドアが開き、程鋒が最初に降りて、小走りで後部座席のドアを開けると、中から長い脚が一歩踏み出された。