第508章 パオちゃんに話させようと誘導する

「霆驍さん、坊ちゃんはどうしたの？なんだかぼーっとしているみたい？」顏如意は焦って言った。

期待に胸を膨らませて坊ちゃんと話そうとしたのに、一言も話さず、反応すらなくなってしまった。焦るのも当然だった！

傍らにいた陸崇山は不機嫌そうに言った。「何がぼーっとだ。坊ちゃんは大病から回復したばかりだ。反応が鈍いのは当然だろう！」

実際、陸崇山の眉間にも隠しきれない憂いの色が浮かんでいた。これほど長く熱が続いたせいで、もし脳に何か問題が出てしまったら……と心配していた。

向かい側の秦沐風は眉をひそめ、同じく心配そうだった。坊ちゃんの様子は、確かに普段とは違っていた。

寧夕は先ほど部屋で小包子ちゃんと甘い時間を過ごしていたので、小包子ちゃんに何の問題もないことをよく知っていた。しかし、陸崇山と顏如意の前では、彼女の立場は微妙で、一言間違えれば自分に面倒が降りかかるため、できるだけ黙っていた方がいいと思い、終始透明人間のように振る舞い、ただ小包子ちゃんに食事を与えることに専念していた。

陸霆驍は何も知らないようだったが、表情は実に落ち着いていて、まったく焦る様子もなく、寧夕の膝の上でおとなしくお粥を食べている息子をちらりと見た後、何気なく一言言った。「坊ちゃん、小夕おばさんの髪に何か汚いものが付いているよ」

お粥を食べることに夢中だった坊ちゃんは、すぐにびくっと顔を上げ、小夕おばさんの髪をじっと見つめ、柔らかな小さな手で探り始めた。

しばらく探しても見つからず、少し焦った様子でパパを見上げ、大きな目には焦りが満ちていた。どこにあるの？

陸霆驍は寧夕に骨を取った魚を箸で取り分けながら、のんびりと言った。「見間違えたみたいだ」

坊ちゃん：「……！！！」

寧夕：「……」大魔王は狡猾すぎる……

陸崇山＆顏如意：「……」こんな風に子供を騙すなんて。

秦沐風：「ふむ……」

しかし、陸霆驍のこの一件で、彼らもようやく理解した。坊ちゃんは病気で体力が弱っていても、頭も反応も全く問題なく、むしろ機転が利いているということを。

ただ、自分が気にかけることにだけ反応を示す……

陸崇山と顏如意は顔を見合わせ、二人とも表情は良くなかった。

やはり、彼らが強制的に坊ちゃんを手元に置き、寧夕との面会を制限したことで、坊ちゃんに拒絶反応を引き起こしてしまったのだろう。