第542章 まさか驍にいさんと男を奪い合うなんて

顎が少し荒い指で掴まれ、唇に痛みを伴うしびれを感じ、寧夕は驚きのあまり漏らしそうになった。

調子に乗るんじゃなかった。抑圧された後に爆発した大魔王は本当に怖かった。もう彼は完全に我を忘れていた！

でも、大魔王が少女のことまで嫉妬するなんて、しかもこんなに大げさに嫉妬するなんて、本当に想像もしていなかった！

今回、陸霆驍はゆっくりと丁寧にキスを続けた。ただし、まだ分別は保っていて、寧夕が暴れ出す前に適切なタイミングで彼女を放した。

寧夕は心臓が激しく鼓動し、歯を食いしばりながら、ゆっくりと片手を上げた……かつらを取ろうとして……

事態がここまで発展してしまった以上、陸霆驍が本当にGAYだと誤解されたままにはできないでしょう？

しかし、その時、陸霆驍は彼女の意図を察したかのように、彼女の指をしっかりと握り、その動きを止めた。