とにかく、この件はようやく無事に解決できた。
車の中で、寧夕はおじいちゃんに状況を報告しようと電話をかけようとしたが、かける前に少し躊躇した。
はぁ、席世卿と別々に帰る言い訳を相談したけど、もしおじいちゃんが諦めなかったらどうしよう?
「もしもし、おじいちゃん~」
「あぁ、小夕ちゃん!席家の若者と会ってきたの?どうだった?いい人だったでしょう?」
「えーと、おじいちゃん、確かにいい人だったけど、私のことを気に入ってくれなかったの!」と寧夕は答えた。
「何だって?あの若者が気に入らなかったって?」おじいちゃんは即座に興奮して言った。
「違うの、おじいちゃん。私の言いたいのは、お互いに気が合わなかったってこと。もう縁結びはやめてね!」寧夕は前もって席世卿と相談した通りにおじいちゃんに説明した。
電話の向こうで、おじいちゃんは非常に落胆した様子で、「そんなはずはないだろう?おじいちゃんは特別に席家の若者に会って、容姿も整っていて、才能もある人だから、安心してお見合いを進めたんだよ。そんな人でも気に入らないの?じゃあ、おじいちゃんに言ってごらん、どんな人が好みなのか。おじいちゃんがまた探してあげるよ!私には古い友人がいて、その孫が……」
やっぱり、まずい、まずい……
寧夕は額に手を当てながら、「おじいちゃん、やめて!おじいちゃん、私は今本当に恋愛する気がないの!」
「小夕ちゃん、おじいちゃんを信じなさい。おじいちゃんは経験者だよ。今があなたの一番いい年頃で、この時期だからこそ最高の男性と出会えるんだよ。それに……」
寧夕が頭を悩ませていると、突然横から温もりが伝わってきた。陸霆驍がいつの間にか彼女の耳元に近づいて、小声で言った。「おじいちゃんに、上司が恋愛を禁止していると言いなさい。」
寧夕は一瞬戸惑って、受話器を手で覆いながら陸霆驍に尋ねた。「え?」
「林芝芝から聞いていないの?あなたの今の状況では、彼氏を作ることはできないんだよ。」陸霆驍は平然と言った。
寧夕はそれを聞いて目を輝かせた。「そうだ!それはいい言い訳になるわ!」
前で運転している陸景禮は口角を引きつらせながらつぶやいた。「ふふん、そうだね。上司が恋愛を禁止してるんだ。上司本人との恋愛以外はね……」