第612章 放浪

「どうして普通に失踪するはずがないのに?」寧夕は眉をひそめた。

大先輩がこんなに急いで彼女と戦いたがっていたのも無理はない。彼女が戦闘力皆無で、戦っても全く面白くないのに。

相手がいなさすぎたからだったのだ。

「でも、二番目の先輩はあの性格だから、三日に二日姿を消すのも普通じゃない?十日や半月会えないのもよくあることでしょう?」寧夕は考えながら言った。

当時、組織の中で、彼女と一番仲が良かったのは二番目の先輩で、食事や遊び、そしてあのスリリングな命がけのエクストリームスポーツも、全て彼に連れられて経験したものだった。

彼が暴れまわらない日があったら、それこそ不思議なことだ!

この点から見ると、師匠は本当に先見の明があったと思う。当初二番目の先輩を引き取った時につけた名前が...うん...唐浪...。