第626章 最後の参加者

寧夕も苦笑するしかなかった。自分が優れすぎているのも悩みの種なのだ!

宮尚澤のこの作品は、テーマの意味が良いだけでなく、文化の継承にも触れており、まさにこの賞のために作られたようなものだった。チームの力も強く、すべてのリソースが最高のものだったため、審査員たちの心を掴むのも当然だった。

会場の拍手はますます激しくなり、半数以上の人々が立ち上がって戴威と寧雪落に祝福の言葉を贈った。記者たちもカメラを彼に向け、受賞の瞬間を撮影しようと準備していた。

戴威は得意げに立ち上がり、一人一人に感謝の意を示しながら、謙虚で適切な言葉を述べた。「皆様、過分なお言葉です。これは私たちチーム全体の功績です!特に私の雇用主である寧雪落さんがいなければ、今日の戴威はありませんでした!」

寧雪落はそれを聞いて笑いながら言った。「謙遜しないで、あなたこそが私たちスタジオの魂であり、中心なのよ。」

今や戴威がこのような大きな賞を受賞したため、寧雪落は彼を引き留め、より忠実に働かせるために、彼への態度はさらに良くなっていた。

戴威が服を整え、受賞のために歩み出そうとした時、司会者が突然口を開いた。「皆様、もう少しお待ちください。最後の参加者がまだ残っています!」

「えっ?まだいるの?何なんだ?」

「そのまま表彰式を始めればいいじゃないか!時間の無駄じゃないか?」

「仕方ないよ、コンテストはそういうものだから。この一時を急ぐ必要はない。手順が終わるまで待とう!どうせ結果は決まっているんだから、この時間を使ってインタビューの準備をしよう!」

……

司会者の言葉を聞いて、戴威の足が止まり、表情が少し困惑した。そして突然、以前安琪が密かに彼に話していた、以前の盗作者を最後の出場者として配置したことを思い出し、すぐに理解して、良い表情で席に戻った。

その参加者が登場すれば、自分をより引き立てることができるだけでなく、この機会を利用して最近の狂った追随者たちに見せしめを作ることができる。一石二鳥だった。

寧雪落も全く焦っていなかった。すでに勝利は確実で、今日の参加者の中で競争力のある対戦相手は先ほど全員登場済みだった。残りの一人は単なる端役で、錦上添花に過ぎなかった。