元カノが大叔母さんになって……
この瞬間、江牧野の心の中にはたった四文字しかなかった——何てこった!
江牧野は深く息を吸い込み、電話の向こうに向かって怒鳴った。「叔母さんのやつ!寧小夕、これはお前が俺を追い詰めたんだぞ。人の道を外れたと言うなら、俺は林芝芝に告げ口してやる。お前が彼女に内緒で恋愛してるってな!」
寧夕はそれを聞いて即座に爆発した。「くそっ!江牧野、お前もっと厚かましくなれるのか?こんな兄弟がいるか?」
「兄弟なんかじゃねえ!お前は俺の大叔母さんじゃないのか?」
「言いつけたら、お前の足をへし折るぞ!おい……おい……」
ツーツーツー……電話の向こうから通話終了音が聞こえた。切られてしまった。
くそっ!あいつ、本当に芝芝ねえさんに告げ口しに行くんじゃないだろうな?男のくせに、告げ口とは何だ!
ああ……衝動は悪魔だな!
林芝芝のことを忘れていたなんて!
以前、林芝芝に演技に専念して絶対に彼氏を作らないと固く誓ったのに、今じゃ自分で自分の顔に泥を塗るようなものじゃないか!
美しさに惑わされた!美しさに惑わされたんだ!
寧夕が急いで江牧野に電話をかけようとした時、携帯の画面が光り、着信表示には……林芝芝!!!
やばい!あの金毛くん、本当に告げ口しに行ったのか?
携帯は執拗に鳴り続け、寧夕は頭を抱えて悩んだ末、仕方なく電話に出た。震える声で「も、もしもし……芝芝ねえさん……」
「寧夕、聞きたいことがあるの。正直に答えてちょうだい」電話の向こうで、林芝芝の声は異常に厳しく急いでいた。
寧夕の心臓が一瞬止まりそうになった。もうダメだ、終わりだ!
「あ、あの、何でしょうか、芝芝ねえさん?」寧夕は強がって知らないふりをした。
林芝芝が尋ねた。「あなたと胡宏達はどういう関係なの?」
「私たち二人の関係は……えっと待って……」寧夕は一瞬呆然とした。「芝芝ねえさん、今誰って?」
「胡宏達よ」
「胡宏達って誰?」寧夕は完全に混乱した。陸霆驍のことじゃないの?
電話の向こうの林芝芝はほっとしたような様子で「知らないなら良かった」
「一体何があったんですか?」寧夕はようやく状況が違うことに気付き始めた。
びっくりした。江牧野があいつ、本当に告げ口しに行ったのかと思ったのに!