寧夕は軽く笑い、周りの孟長歌を罵る声を聞きながら、むしろ嬉しそうだった。「褒めてくれてありがとう」
しかし、すぐに物語が中盤から後半に進み、画面に孟長歌の回想が現れ始め、孟長歌のアイデンティティが一歩一歩明らかになると、観客の態度に明らかな微妙な変化が起こった……
「ああああ!江牧野がかっこいい!」
「孟長歌の男装も素敵な驚きだわ!彼女のあの顔立ちで、男装したらきっと変になると思ってたのに!」
「江牧野がこんな弱々しい書生タイプの役をこんなに感じ良く演じるなんて思わなかった!押し倒したくなるわ!」
……
そう言っている間に、劇中の孟長歌は本当に江牧野を自分の部屋に縛り付けて押し倒した。
「あら?孫先生、顔が赤いわよ!実はあなたも私のこと好きなんでしょう?それなら私たちはすぐに一線を越えてしまいましょうか?」
映画館内は悲鳴と笑い声に包まれた……
「なんてこと!ああああ!これが予告編にあった牧野の緊縛プレイ!やっとここまで来た!」
江牧野は観客として初めてこのシーンを見ていて、思わず鼻をこすりながら、少し落ち着かない様子だった。
寧夕は嬉しそうに「あら、小爺の不良演技は本当に素晴らしいわね、金毛くんもそう思わない?」
「ふん、お前は演技なんかしてないだろ!お前はただの不良だ!」
このシーンの後、寧夕と江牧野の提灯祭りでの初キスシーンでは、観客の反応は彼らの予想以上に激しかった。
その悲鳴は屋根を突き破りそうなほどだった……
「なんてことなんてこと!このカップル大好きになりそう!」
「なんてかわいいの!ああ、乙女心が!溶けちゃう、溶けちゃう!」
「正直言って、江牧野はこれまで多くのワンマン社長や情熱的な主人公を演じてきたけど、心がこもったものは一つもなかったと思ってた。彼が女性主人公をどれだけ愛しているのか全く見えなかったけど、この作品では、彼の目から本当に愛情が見えた!」
「それも抑圧された、深く隠された、心の奥底に埋もれた、欲しいけれど欲しいと言えない、手に入れられない濃厚な愛情!」
……
周りで彼女と江牧野が相性がいいという議論を聞きながら、寧夕は大魔王が今ここにいないことを心から感謝していた。さもなければ、その結果は……
おそらく本当に全面的に作品が下げられるだろう……