薛夕はこの人を知らなかったので、元々彼女のことを気にかけるつもりはなかった。結局のところ、薛瑤のお客さんだったから。
しかし、孫若若の「聾唖者」という一言で、彼女は足を止めた。
孤児院では、障害のある子供たちが捨てられることがよくあった……
彼女はもう一度夏一一を見た。
少女は善意に満ちた笑顔を彼女に向けた。純粋さはまるで小さな子供のようだった。
このおしゃべりさんはかわいいじゃないか?
薛夕は反対側のソファを指差し、そちらに座るように示した。おしゃべりさんの目が突然輝き、うなずいた。
座ったあと、彼女は期待に満ちた目で薛夕を見つめた。まるで飼い主に撫でてもらうのを待つ猫のように、おとなしくて賢い様子だった。普段は冷淡な薛夕でさえ、この瞬間、心が少し和らいだ。
彼女も歩いて行って座った。