第130章 薛・感情のない・夕

薛夕の携帯電話の電子チケットはすでにスキャンされていた。

  警備員は葉儷に向かって言った。「お入りいただけます。」

  「…………」

  葉儷は驚愕して目を見開いた。

  彼女は信じられないような様子で薛夕の携帯電話を見て、尋ね返した。「このチケット、本物なの?」

  警備員は頷いた。「はい、お入りください。次の方の邪魔にならないようにお願いします。」

  葉儷は呆然としながら、薛夕について柵の中に入った。そこで何かを理解したようで、急に振り返って外にいる劉依秋を見て、笑いながら言った。「あら、夕夕はここに6枚のチケットがあるのよ。本当は一緒に入れたんだけど、あなたも1枚持ってるみたいね。私たちは必要ないみたいだから、先に入らせてもらうわね〜」

  葉儷は温和な様子で、このトゲのある言葉を言い終えると、薛夕の手を取って中に入っていった。李夫人と挨拶を交わし、お互いに紹介し合った後、一緒に中に入っていった。

  劉依秋は門の外に立ち、焦って右往左往していた。

  彼女は裕福な家庭の出身ではあるが、ピアノにしか詳しくなく、國畫のような深い研究を要するものは、常に時間の無駄だと思い、興味を持っていなかった。

  しかし、葉儷が李夫人と関係を築くのを見過ごすわけにもいかなかった。これは全て彼女自身の人脈なのだから!

  でも考えてみると、また落ち着いた。

  李夫人はいつも傲慢で、付き合いにくい人だ。葉儷のような本の虫の性格では、きっと彼女の機嫌を取ることはできないだろう。夫人外交なんてできるはずがない。

  むしろ、李夫人は葉儷をつまらない人間だと思うかもしれない!

  -

  畫展の中で。

  李夫人は絵を見ながら、目の端で葉儷を観察していた。心の中では彼女を少し軽蔑していた。

  劉依秋の口から、世間の人々は葉儷が普通の家庭から裕福な家に嫁いだと思っており、薛家もまた成り上がり者で、本当の教養のある裕福な家庭は彼らをあまり重視していなかった。

  先ほど待っていたのは、彼女の教養が無礼なことをさせなかっただけだ。

  畫展に入ると、二言三言の社交辞令を交わした後、劉夫人は失礼して自分で絵を見ようとした。

  しかし、数歩進んだところで、後ろから薛夕の声が聞こえてきた。「ママ、この『春風再び江南の岸を緑にす』も國畫なの?」