携帯電話を李先生に渡した後、薛夕はこの件がこれで終わったと思ったが、李先生が更に厳しく言い放ったことは予想外だった。「反省文を書きなさい。最低3000文字で、午後の授業が始まる前に私に提出すること。さもなければ、午後の授業に出席させないぞ!」
この言葉を聞いて、張曉曉は驚いて叫んだ。「李先生、3000文字の反省文は、最速でも1時間はかかります。学びの神はどうやってご飯を食べるんですか?」
「学びの神?」李先生は薛夕を嘲笑うように見て言った。「これは自分で付けた二つ名か?本当に自分を何か偉大な人物だと思っているのか?バトラ予想を証明しただけで、随分と調子に乗っているじゃないか?」
李先生は厳しい口調で続けた。「何をじっと見ているんだ?言っておくが、書けなければ午後の授業に出席させない。本当に書きたくないなら、出て行け!」
そう言い終えると、李先生は教室を出て行った。
薛夕は眉をひそめ、拳を握りしめた。これが初めて先生を殴りたいと思った瞬間だったが、結局はその怒りを押し殺した。
孤児院にいた頃、院長は師を敬い道を重んじることを繰り返し強調していた。それに、この李先生が彼女に対して取った行動はすべて校則の範囲内だった。
彼女には先生を殴る理由がなかった。
薛夕は目を伏せ、張曉曉に言った。「君たちは行っていいよ。」
張曉曉もちょっと行き過ぎだと感じ、眉をひそめて言った。「学びの神、李茜に一言言ってもらって、彼女のおじさんにあなたをこんなに狙い撃ちしないでほしいって伝えてもらったら?」
薛夕は何も言わず、座って白紙を一枚取り出し、少し困った様子だった。
幼い頃から頭の良かった彼女は、美しい外見と優秀な成績のおかげで、いつも先生たちのお気に入りだった。作文は得意ではなかったし、反省文なんてどう書けばいいのだろう?
彼女は適当に食堂カードを張曉曉に渡し、「何か食べ物を持って帰ってきてくれない?」と言った。
張曉曉はうなずいた。
みんなが出て行った後、薛夕は頭を掻きむしった。
白紙に「反省文」と3文字書いた。
そして、書き出しで詰まってしまった。
反省文の書き方がわからない彼女は、今は携帯電話もなく、ネットで例を検索することもできず、初めて困った表情を見せた。