第225章 俺を要らないなら、夕さんを育てて君に贈る

「うわっ!辰にいさん、行かないで!」

  秦爽は突然泣き出した。その泣き声に薛夕も少し戸惑い、事態の展開が早すぎて受け入れられないと感じた。

  封延の足はガクガクと震え、体全体がほとんど地面に倒れそうになった!

  彼は呆然と医者を見つめ、信じられない様子で救急室のドアを見つめた。頭の中には一つの考えしかなかった。どうして...どうしてこんなことが!

  辰ちゃんはそんな人じゃない。5年前、彼が辰ちゃんを押しのけた時も、こんな極端なことはしなかった。

  もし辰ちゃんがこうなるとわかっていたら、どうして彼を押しのけることができただろうか。

  封延は拳を強く握りしめた。

  辰ちゃんに何かあったら、自分を一生許せない...いや、辰ちゃんのために命を捧げよう...

  これらの考えが頭の中を次々と駆け巡った後、医者の続きの言葉が聞こえてきた。「...申し訳ありませんが、ご連絡せずに、同意書にもサインいただかずに小手術を行いました。状況が非常に緊急だったため、まず手術を行う必要があったのです。」