薛夕:「…………」
なぜか、彼のこの言葉を聞いて、薛夕は胸の奥に何か違和感を覚えた。最近薬を飲んで「恋をしないと死ぬ」を抑制していたのに、理屈では、こんな状況は起こらないはずだ。
彼女はあまり深く考えず、真剣に尋ねた:「どこが痛むの?病院に行く?」
向淮は首を振った:「行かない。全部表面的な傷だよ。もう包帯を巻いて薬も塗ったから。ただ、とても痛いんだ。」
薛夕の霞がかかったような大きな目に焦りの色が浮かんだ:「じゃあ、どうすればいいの?」
向淮はゆっくりと口を開いた:「君がキスしてくれれば痛みが消えるよ。」
薛夕:「なぜ?」
向淮:「君が僕の鎮痛剤だからさ。」
薛夕:「…………」
普通なら、どんなに鈍感な人でもこの言葉が冗談だとわかるはずだが、薛夕はそう思わなかった。彼女の身に起こる奇妙な出来事があまりにも多すぎたのだ。