第328章 俺が殴った

「その言葉とともに、彼は相手の胸にもう一発蹴りを入れた。相手は心臓が急に痛くなり、縮むような感覚に襲われた...痛みで瞬時に冷や汗が噴き出し、その場に崩れ落ちた。

打ち終わると、彼は最後の一人に目を向けた。「全身が痛いのか？」

全身が痛いと言っていた男は、既に足腰が立たなくなり、スタッフの背後に隠れていた。「先生、助けてください！」

二人のスタッフは慌てて一歩後退し、警戒心を持って向淮を見つめた。彼らは言った。「警察を呼べ、早く警察を！」

そう言っている間に、目の前で何かが光った。二人が我に返った時には、背後にいた男が再び地面に倒れ、全身を痛みで痙攣させていた。

向淮はようやく、殴られていない最後の一人に目を向けた。その男は恐怖で両足がガクガクし、そのまま地面に倒れ込み、お漏らしをした。

向淮は嫌悪感を込めてちらりと見て、スタッフがさっきメモを取るのに使っていたペンを手に取り、軽く振った。泣いていた男は急に声を潜めた！

なぜなら、そのペンがちょうど彼の股間に刺さったからだ。ある部分は、そのボールペンが地面に刺さる際の摩擦で発生した熱まで感じていた...

彼は目の前が真っ暗になり、恐怖で気を失った。

さっきまで威勢よく騒いでいた5人が、ほんの数分で地面に倒れていた。外にいた人々は呆然としていた。

電話で連絡を取っていた付き添いの先生も呆気にとられていた。

彼女は急いで電話を切り、部屋のドアを開けた。すると、人を殴り終えた向淮が、ひっくり返されたテーブルから紙ナプキンを取り出し、手を拭いているのが見えた。そして嫌そうに地面に投げ捨てた。

彼は冷たい目つきで呆然としている二人のスタッフを見て、ゆっくりと口を開いた。「見たか？この5人は俺が殴ったんだ。俺の彼女は関係ない。」

スタッフ：？

先生：？

薛夕：？？？

彼は手近な椅子を引き寄せ、薛夕の隣に置いた。そして何事もなかったかのように座り、続けて言った。「他に証拠はあるのか？」

この5人は怪我の確認もせずに、薛夕を誹謗中傷してきた。

今やもっとひどい目に遭って、元々の怪我など全く分からなくなっている。だから以前の証拠は完全に消えてしまった。

彼らが薛夕に殴られたと言えば、それが殴られたことになるのか？証拠がない！傷跡もないのに、どうして殴られたことになる？