第362章 金持ちで、しかも大学入試で満点？

玄関先に黒いアウディが停まっており、その後部ドアの近くに、薛夕に少し似た中年の男性が立っていた。

　　その男性はスーツを着こなし、品格のある様子で、薛夕に手を振っていた。

　　薛夕は彼を見ると、ゆっくりとした足取りを早め、すぐに車の前に到着した。二人は何かを話し、男性は薛夕の髪を撫で、すぐにドアを開けて彼女を乗せた。

　　そして男性も乗り込み、車は走り去った。

　　李紫夏：？

　　アウディとはいえ、あの車は最新モデルで、値段も安くはなく、普通の中流家庭では手が出ないものだった。

　　そして、さっき降りてきた男性は明らかに成熟したビジネスマンだった。

　　李紫夏が考えに耽っているとき、劉昭がいつの間にか彼女の側に来て、玄関の状況を凝視し、目を細めた。

　　彼女はさりげなく携帯を取り出し、写真を一枚撮った。

　　そして李紫夏に言った。「なるほど、薛夕さんは本当に貧困ではないんですね。結局、あんな男性の恋人がいるんだから、貧困なはずがありませんよね？」

　　李紫夏は驚いた。「恋人？あれはお父さんじゃないの？」

　　お父さん？

　　劉昭から見れば、薛夕は19歳なんだから、彼女のお父さんは40代以上のはずだ。でも、さっきの男性は30代くらいに見えた。ただ少し落ち着いているだけで、どこがお父さんに見えるというのか？

　　それに......

　　劉昭は口を開いた。「実は薛夕さんが学校に来る時、送ってきた人を見たことがあるんです。あの人が彼女のお父さんでしょう。」

　　彼女が見たのは、李おじさんだった。

　　薛夕は葉儷に送ってもらうのを断り、派手すぎると思ったので、李おじさんが車で送ってきたのだ。ただ、車は学校に入らず、多くの人は見ていない。李おじさんが彼女のスーツケースを持って、校門まで送り届けたのを見ただけだった。

　　李紫夏は困惑した。「えっ？でも薛夕さんはそんな年上の恋人を作るような人には見えないよ！」

　　あの人は若く見えたけど、もう40歳近いんじゃないの？

　　劉昭は李紫夏の腕を軽く揺すった。「まあいいでしょう。どうあれ、あの貧困生の枠は薛夕に与えないほうがいいわ。彼女はあなたの好意を気にも留めていないんだから。」