第403章 私の母は夜黎

一言で、部屋中が水を打ったように静かになった。

スタイリストまでもカーラーを持ったまま、彼女を呆然と見つめていた。

謝瑩瑩は思わず唾を飲み込んだ。夕さんの言葉は確かに荒唐無稽だったが、先ほどの彼女がその絵を評価した時の「まあまあ」という軽い言葉を思い出し、さらにIMOと大学入試で満点を取った時の「まあまあ」という反応を思い出すと、突然この言葉が少し信じられるような気がしてきた。

一方、李紫夏は目を見開いていた。

寮にいた時、確かに夕さんを見くびっていた。理論的には今回疑うべきではないはずだが、水墨画というものは時間をかけて積み重ねていくものだ。

葉儷は四十代で、人生の浮き沈みを経験してきた。最近夫が破産したとも聞いている。そんな豊かな経験があってこそ、『孤山の図』の孤独と哀愁を描くことができたのだ。