錢箏は彼女に怒らされ、顎を上げて直接言った。「私ももちろん読んだわ。理解するだけで十分でしょう。あなたみたいに丸暗記して、いつでもどこでも自慢げに見せびらかすなんて誰がするの?」
顧雲卿はその言葉を無視し、笑いながら言った。「この間、学校で美術展があるの。専門の美術科の学生が行くところよ。その時、錢箏、あなたも来てみたら?」
来るなら本当の実力を見せないと!
錢箏が少し躊躇うと、顧雲卿は笑って言った。「まさか来る勇気がないの?華夏大學の美術専攻の学生はたくさんいるのよ」
錢箏は即座に顔を上げた。「そんなことないわ。必ず行くわ」
顧雲卿は「よかった、では錢お嬢様のお越しをお待ちしております!」
そう言って、彼女は傅元修の方を向いた。「元修兄さん、この後予定ある?せっかく私たちの学校に来たんだから、ホスト役として食事に招待させてください」
傅元修は先ほど彼女の面子を立ててくれなかったけど、顧雲卿が彼のことを好きなのだから仕方ない。
それでも彼に近づかずにはいられない!
しかし傅元修は携帯を見下ろして「いや、約束がある」と言った。
顧雲卿はわざと前に出て、彼の携帯画面を覗き込んだ。「元修兄さん、誰と約束したの?まさか女性の友達?」
傅元修は黙って携帯の画面を消し、顔を上げて顧雲卿を見た。「違う」
顧雲卿はほっとした。
傅元修は続けて言った。「彼女だ」
「…………」
「すまない、先に行くよ」
…………
「ははははははは!」
美術展を離れ、人気のない廊下に来ると、錢箏はもう我慢できずに大笑いした。「さっきの彼女の顔色、本当にひどかった!ははは!今日は最高だったわ!夕さん、あなたの本の暗唱シーンは超絶最高だったわ!」
薛夕は訂正した。「傅元修が暗唱したのよ」
確かに葉儷の部屋でその本を読んで暗記はしていたけど、傅元修ほど反応が早くなかった。彼女が明かそうとした時には、傅元修がすでに前に出て英雄のように助けてくれていた。
「そんなの重要じゃない!」錢箏は大きく手を振り、傅元修のすべての行動が薛夕のものになればいいと願った。そうすれば彼に恩を感じることもなく、今後会わなくて済む。
そうでなければ、会うたびに気まずい思いをする。