郭先生は笑って言った。「そうだよ、薛夕、覚えているかい?」
馮省身はそれを聞いて、何かを急に思い出したように、慌てて携帯を取り出して時間を確認した。「今、大学一年生の入学式か?」
最近、科学研究に没頭していて、昼も夜も分からないほどだった。何月何日かさえ覚えていなかった。
郭先生は少し驚いて「はい」と答えた。
馮省身は口を開いた。「入学式か、いいタイミングだ!」
彼は数学の難問で行き詰まっていたところだった。夕ねえさんが来たのは、まさに渡りに船じゃないか?
携帯を取り出して薛夕に電話をかけようとしたとき、郭先生がまだ傍に立っているのに気づいた。眉をひそめて「まだ何か?」
郭先生は首を振って「いいえ、もう大丈夫です」
郭先生が去った後、馮省身はようやく薛夕に電話をかけようとした。
先ほど郭先生が言った嫌な同級生の話なんて、研究に没頭していた彼には全く耳に入っていなかった。
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実験室にて。
薛夕は既に多くの計算を素早くこなしていた。
そのとき、彼女の携帯が鳴った。見てみると馮省身からだった。そこで適当に電話に出て、スピーカーフォンにして横に置いた。
馮省身の声がすぐに聞こえてきた。「夕ねえさん、華夏大學に来たの?」
薛夕は「...うん」と答えた。
馮省身は「じゃあ最近は入学の準備で忙しいだろうけど、時間があったら私のところに来てよ」
薛夕は目の前の問題を見た。
郭先生は計算量を半分増やしていた。張昊たちの男子学生は徹夜になりそうだし、自分もあと2時間はかかる。それに謝瑩瑩の手伝いもしなければならない。
夜7時くらいには終わるだろう。夕食を食べて、寮に戻って本も読まなければならない。今日は無理だ。
少し考えてから「週末なら多分時間があると思う」と言った。
「じゃあ、週末に私のオフィスに来てね!」
「はい」
馮省身は続けて「そうそう、華夏大學で何か困ったことがあったら、いつでも私のところに来ていいからね!」
「はい」
馮省身が電話を切った後、その会話を聞いていた謝瑩瑩は顔を上げずに尋ねた。「夕さん、誰?」
おじいさんの声だったけど、なぜ夕さんって呼んでるの?
薛夕は答えた。「馮省身」
謝瑩瑩は「...」
他の三人も「...」