第485章

薛夕は呆然とした。

振り向くと、季司霖だった。

彼は眼鏡を直し、優しく温かな笑みを浮かべた。

薛夕は目を輝かせ、「司霖にいさん」と呼びかけた。

季司霖は頷き、その男子学生を見た。

男子学生は呆然とし、薛夕と季司霖の間を視線で行き来させ、最後には仕方なくカードを通した。

季司霖はカードを受け取り、皆に向かって言った。「飲み物を奢るよ」

李紫夏と謝瑩瑩は目を合わせ、揃って「ありがとう、司霖にいさん!」と言った。

季司霖は薛夕を見て「時間ある?食事でも行かない?」

薛夕は「……」

実は本を読みたかったのだが、ずっと季司霖を食事に誘うと言っていたのに実現していなかったので、断るのも申し訳なく、すぐに「いいよ」と答えた。

彼女は謝瑩瑩と李紫夏を見た。

二人は目を合わせたが、気を利かせて立ち去るわけでもなく、「夕さん、私たちも一緒に行きましょう!」と言った。