秦爽はその言葉に顔を真っ赤にして、目を見開いた。
アイドルはいつも彼女をからかっていた。前回ここに泊まった時、彼女が入浴中に彼が帰ってきて、うっかり見られてしまい、触られてしまったように……
でも前回は、アイドルは自制心を保ち、それ以上のことはしなかった。
今回もまた始まるのだろうか?
彼女がぼんやりと考えているうちに、岑白は車から降り、反対側に回って、ドアを開けて彼女を招いた。
外は月明かりが濃く、漆黒の空に、丸い月が清らかに輝いていた。
秦爽の心臓は激しく鼓動し、車から降りるのを躊躇っていたが、岑白が差し出した手は長く白く、断れるものではなかった。
彼女は唾を飲み込んでから、ようやく車を降りた。
降りるや否や、岑白に手を掴まれ、秦爽は全身が熱くなり、手のひらに汗が滲んでいたが、彼の大きな手は冷たく、まるで体温がないかのようだった。